サーチコンソールでリライトする記事を選ぶ方法:11〜20位・低CTR・下落の3条件
リライトする記事を「なんとなく伸びそう」で選ぶと、担当者ごとに違う記事を直し、効果も測れません。 私たちは 13 サイトの運用で、候補を 3 つの条件で機械的に絞り、暫定スコアで見に行く順番を決めています。 この記事は、その 3 条件と、Search Console の画面でそれぞれを絞り込む手順、記事を開いたら何を直すか、効果をいつ測るかをまとめたものです。
1. 候補は 3 条件で絞る
条件はすべて「直近 28 日」のデータで判定します。数値の境界は私たちの運用での暫定値で、サイト規模に合わせて上下させて構いません。
| 条件 | 判定 | 意味 |
|---|---|---|
| (1) 惜しい順位 | 掲載順位 11〜20 位、表示回数 100 以上 | 2 ページ目にいる。本文で扱えば 1 ページ目に上がる余地がある |
| (2) 高表示・低 CTR | 表示回数 1,000 以上、CTR 1% 未満 | 見られているのにクリックされていない。title・ディスクリプションの問題であることが多い |
| (3) 順位下落 | 前回取得比で順位が 3 以上悪化(両期間とも表示回数 50 以上) | 競合の追加や本文の陳腐化。放置すると流入が減る |
(1) と (2) は「今どこにいるか」で決まる判定、(3) は「前回からどう動いたか」で決まる判定です。軸が違うので、同じ記事が (1) と (3) の両方に当たることもあります。 表示回数の下限を付けているのは、表示 10 回で 15 位のクエリを直しても、1 ページ目に上がったところで得られるクリックが数件だからです。
2. Search Console の画面での絞り込み手順
Search Console の「検索パフォーマンス」レポートで、条件ごとに次の順で操作します。期間はまず「過去 28 日間」にします。
(1) 惜しい順位:11〜20 位で表示 100 以上
- 「検索パフォーマンス」→ 表の「クエリ」タブを開く
- グラフ上部の「平均掲載順位」をオンにして、表に掲載順位の列を出す
- 表の右上にあるフィルタ(じょうごのアイコン)で、掲載順位が 10 より大きい、表示回数が 100 以上、の 2 条件を付ける
- 掲載順位の列で昇順に並べ替え、11〜20 位の範囲を上から見る
クエリで絞ってから、気になるクエリをクリックして「ページ」タブに切り替えると、そのクエリで出ている URL がわかります。逆に「ページ」タブから始めて、記事ごとの流入クエリを見る順でも構いません。
(2) 高表示・低 CTR:表示 1,000 以上で CTR 1% 未満
- 「ページ」タブを開き、「平均 CTR」をオンにして CTR の列を出す
- フィルタで、表示回数が 1,000 以上、CTR が 1% より小さい、の 2 条件を付ける
- 表示回数の列で降順に並べ替える。上にあるほど、直したときの効き目が大きい
ここで掲載順位も一緒に見てください。1〜3 位で CTR 1% 未満なら、ブランド語や画像・動画などの検索結果に押されている可能性があり、title を直しても動かないことがあります。4〜10 位で CTR が低いほうが、title とディスクリプションで動きやすい候補です。
(3) 順位下落:前回比で 3 以上悪化
- 日付のフィルタを開き、「比較」タブで「過去 28 日間」と「前の期間」を比較にする
- 「クエリ」タブで、掲載順位の「差」の列を出し、悪化が大きい順に並べ替える
- 両方の期間で表示回数が 50 以上ある行だけを見る。片方が数回しかない行は、差が出ても揺れでしかない
順位は数値が大きいほど悪いので、比較表の「差」の符号には注意してください。プラスは悪化、マイナスは改善です。
エクスポートして表計算で絞る
画面のフィルタが扱いにくいときや、条件を毎週同じに保ちたいときは、表の右上の「エクスポート」から Google スプレッドシートか CSV に出して、表計算で絞ります。 エクスポートで出るのは画面の表と同じ最大 1,000 行なので、クエリ数が多いサイトでは下位が入りません。上位 1,000 行に候補が収まる範囲で使うか、API で取得してください。
表計算では、B 列 = クリック、C 列 = 表示回数、D 列 = CTR、E 列 = 掲載順位として、フィルタ機能で「E が 11 以上 20 以下かつ C が 100 以上」のように条件を付けるだけです。 前回比を出すなら、先週エクスポートしたシートとクエリの列で突き合わせて、順位の差を計算する列を足します。
3. 優先順位の付け方:見に行く順番を決めるスコア
候補が 30 件出たとして、全部は直せません。私たちは 2 つの暫定スコアで並べています。どちらも「絶対値に意味がある指標」ではなく、今週どれから見に行くかを決めるための順番付けです。
狙い目スコア = 表示回数 × (21 − 順位) ÷ 10
(1) 惜しい順位に使います。表示回数が多く、順位が 11 位に近いほど高くなります。表示 8,000 回で 12 位なら 8,000 × 9 ÷ 10 = 7,200、表示 500 回で 19 位なら 500 × 2 ÷ 10 = 100 です。
増分クリック見込み = 表示回数 × (順位別の期待CTR − 実CTR)
(2) 低 CTR に使います。「その順位ならこのくらいはクリックされるはず」という期待 CTR との差に、表示回数を掛けたものです。期待 CTR は次の暫定基準を使っています。
| 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 28% | 15% | 11% | 8% | 7% | 5% | 4% | 3.5% | 3% | 3% |
例えば表示 3,150 回・順位 4.1(期待 CTR は切り上げて 5 位の 7%)・実 CTR 0.8% なら、3,150 × (0.07 − 0.008) ≒ 195 クリックの余地がある、と読みます。 CTR はブランド語・端末・検索意図・検索結果の形で大きく変わるので、この基準を「異常かどうかの判定」に使わないでください。あくまで順番を決めるための固定値です。
(3) 下落は、スコアより先に「表示回数が多い順」で見ます。表示の多い記事が 3 位落ちたほうが、表示の少ない記事が 5 位落ちたより失うクリックが多いからです。
4. 記事を開いたら何を直すか
候補の記事を開いたら、その記事に流入しているクエリを順位で 3 つに分けて、それぞれ直し方を変えます。
| 分類 | 条件 | 直し方 |
|---|---|---|
| 主戦場 | 1〜3 位 | 維持。title から語を外さない。古い年号・価格・仕様など本文の陳腐化を直す |
| 伸ばす | 4〜10 位で CTR が期待値未満 | title・ディスクリプション・h2 にクエリの語をそのまま入れる。検索意図に答えていることを冒頭で示す |
| 惜しい | 11〜20 位 | その語で見出しを 1 本足し、本文で明示的に扱う。すでに別の記事がその語で上位なら、追記せず統合を検討する |
「伸ばす」は本文を書き直す必要がないことが多く、title と見出しの語の入れ替えだけで動きます。「惜しい」は逆に、title をいじっても動かないことが多く、本文にその語の見出しを足すのが効きます。 どちらも、直す前にサイト全体のクエリ一覧で他の URL が同じ語で何位にいるかを確認してください。同じサイトの 2 本が同じ語を奪い合うと、両方の順位が不安定になります。
5. やってはいけないこと
- 欠落リスクがある状態で「クエリが減った」と判断する。API で長期間を 1 回で取ると、1 日・1 サイト・1 検索タイプあたり 50,000 行の上限で下位クエリが黙って切り捨てられます。画面のエクスポートも 1,000 行までです。 取り切れていないデータで「ロングテールが減った」と結論すると、存在しない下落を直しに行くことになります。実測は 50,000 行制限の記事 にまとめています。
- 順位を単純平均する。クエリをページ単位にまとめるとき、掲載順位を表計算の「平均」で集計すると誤ります。順位は表示回数で重み付けして集計します(平均掲載順位の記事)。単純平均で出した「下落」は、下落ではないことがあります。
- 前回比を 1 週間のブレで判断する。7 日分の順位差は、検索結果の揺れだけで 3 くらい動きます。「下落」の判定は 28 日窓どうしの比較で行い、両方の期間で表示回数が十分にある行だけを見てください。
6. 効果測定:公開後 4 週間で同じ指標を見る
リライトを公開したら、4 週間後に同じ 3 条件の指標(順位・表示・CTR)を、直す前の 28 日と比べます。 Search Console のデータは確定まで約 3 日遅れるので、公開直後の数日は見ても意味がありません。1〜2 週間で判断すると、上の「1 週間のブレ」と区別がつきません。
比較するときは、直す前の数値を残しておくことが前提です。Search Console の画面は 16 か月で過去データが消え、比較機能も期間の組み合わせに制約があるので、リライトした日と、その時点の順位・表示・CTR を表計算に控えておいてください。
7. RocketConsole での運用
RocketConsole では、この 3 条件を全サイト横断の 施策キュー として毎週月曜に自動で並べています。 「惜しい」は狙い目スコア順、「低 CTR」は増分クリック見込み順、「下落」は前回スナップショット比で、13 サイトぶんが 1 画面に出ます。 記事 URL を貼ると、その記事の流入クエリが「主戦場・伸ばす・惜しい」に分類される 執筆モード があり、title に入れる語と見出しを足す語がそのまま決まります。 毎週の 28 日スナップショットは上書きせずに残るので、4 週間後の効果測定は、リライトした週の点と今の点を比べるだけです。
参考
- Google 公式: Search Console ヘルプ「検索パフォーマンス レポート」(指標の定義、フィルタ、比較、エクスポート)— support.google.com/webmasters/answer/7042828
- Google 公式: 検索パフォーマンスデータの詳細(集計方法、匿名化クエリ、データの遅延)— developers.google.com/search/blog/2022/10/performance-data-deep-dive